掲載:NIKKEI NET (2009/01/10)

国が保有する特許について民間企業の活用を促すために、実施権料(ロイヤルティー)を大幅に値下げするというものであるが、果たして、どの程度の効果があるか甚だ疑問である。そもそも、ある特許発明を実施できる権利(実施権)と、第三者の特許に抵触しないというのは全く別のものなので、たとえ許諾を受けたとしても、第三者の特許に抵触して実施ができないということは通常考えられる。
民間企業は、特許発明の事業性を見極めるのに多大なリスクと負担を被っている上に、このような第三者の問題特許も民間企業任せとなると、たとえ実施権料を下げたとしても、おいそれと使わせてくださいという気にはなれないであろう。
このようなケースでも、許諾を受けた者が安心して事業を進められるように、また第三者の利益も十分に考慮して利用促進の法整備をすることが必要不可欠ではないかと考える。
そうすれば、国有特許のバーゲンをせずとも、民間企業による利用の活性化を図ることができ、国は適正なロイヤルティー収入によって、福祉などその特許分野の予算の補填をするなど、いろいろな工夫が可能になろう。