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拒絶理由通知を受けた後の、特許請求の範囲に記載された発明を技術的特徴の異なる別発明に変更する補正、いわゆるシフト補正が禁止された。(特17条の2第4項)このような補正が行われた場合は拒絶の理由(最後の拒絶理由通知後は補正却下)となる。(特49条第1号、特53条)
ただし、補正により発明が大きく変更された場合であっても、発明に実質的な瑕疵があるのではなく、特許されたとしても直接的に第三者の利益を著しく害することにはならない補正については、無効とはならない。

特許法第17条の2第4項

補正前に受けた拒絶理由通知において特許要件を満たしているか否かについての審査官による判断が示された発明と、補正後の特許請求の範囲に記載される事項により特定される発明とが、単一性の要件を満たす一群の発明に該当するものとなるようにしなければならない旨を定めている。

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分割出願の審査時に、もとの特許出願等の審査において通知済みの拒絶の理由がそのまま適用される場合には、拒絶の理由が既に通知されているため、1回目の拒絶理由通知であっても「最後の拒絶理由通知」が通知された場合と同様の補正制限が課される。

特許法第50条の2 特許法第17条の2

特50条の2の条文内にある「他の特許出願」は、「当該特許出願と当該他の特許出願の少なくともいずれか一方に特許法第44条第2項の規定が適用されたことにより当該特許出願と同時にされたこととなっているもの」に限られる。
当該特許出願」を「甲」、「当該他の特許出願」を「乙」とすると、
① 甲が乙を分割した出願である場合
② 乙が甲を分割した出願である場合
③ 甲、乙が同じ出願に基づく分割出願(分割出願をさらに分割した出願であって、おおもとの出願が同一の出願であるものを含む。)である場合 の3通りの場合がこれに該当する。

特許法第53条

「他の特許出願についての通知」とは、審査において通知されたものだけでなく、前置審査や拒絶査定不服審判において通知されたものも含まれる。

【関連する改正事項】
特許法第50条、特許法第159条、特許法第163条
拒絶査定不服審判及び前置審査においても、特許法第50条の2の通知を行うことができるよう、規定を改正した。

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従来の「補正をすることができる期間内」に加え、特許査定後及び拒絶査定後の一定期間にも、出願の分割を認めた。審判が請求された場合、審判請求前までに出願を分割する機会が十分に与えられていると考えられることから、審判請求以降は、従来どおり拒絶理由が通知された場合に限り、その応答期間中に出願の分割を行うことが認められるだけで、期間の追加は行われていない。

特許査定後及び拒絶査定後の分割可能期間(特許法第44条第1項)

従来の制度では、拒絶理由が通知されることなく特許査定がなされた場合には、審査官の判断結果を踏まえて出願を分割する機会が得られなかった。また、拒絶査定がなされた場合に出願を分割する機会を得るためには、拒絶査定不服審判を請求することが必要だった。そこで、今改正で特許査定後及び拒絶査定後30日の期間は分割可能とした。なお、拒絶査定不服審判の請求の日から30日間(特許法第17条の2第1項第4号)は、改正後も引き続き出願の分割が可能(特許法第44条第1項第1号)。これは、拒絶査定不服審判の請求時において、特許請求の範囲の補正と出願を分割するかどうかの判断を一体的に行う必要があるためである。
また、「特許出願の一部を一又は二以上の新たな特許出願とすることができる」との規定(特許法第44条第1項)から、特許出願が特許庁に係属していなければ出願を分割することができないため、特許査定後30日の期間内であっても、特許料を速やかに納付して特許権の設定登録がされた場合にはそれ以降に出願を分割することはできない。

審判請求以降における査定(特許法第44条第1項第2号、第3号)

審判請求後の特許査定・拒絶査定を特許法第44条第2号及び第3号で除外している。具体的には次の場合が該当する。
① 除外される審判請求以降の特許査定(特許法第44条第1項第2号)
・拒絶査定不服審判の請求から30日以内に明細書等の補正があったものについて審査官が審査し(前置審査)、特許査定がされた場合(特許法第163条第3項)
・拒絶査定不服審判で審決により審査に差し戻されて、特許査定がされた場合(特許法第160条第1項)
② 除外される審判請求以降の拒絶査定(特許法第44条第1項第3号)
・拒絶査定不服審判で審決により審査に差し戻されて、再び拒絶査定がされた場合(特許法第160条第1項)

なお、特許をすべき旨の審決は、特許査定とは異なる処分であるため、特許をすべき旨の審決後に出願を分割することはできない。

分割可能期間の延長(特許法第44条第5項、第6項)

特許料納付期限及び拒絶査定不服審判の請求可能期間は、請求や職権により延長可能である(特許法第4条、第108条第3項)そこで、分割可能期間は、特許料納付期限又は拒絶査定不服審判の請求可能期間が延長された場合に、連動して延長させることとした。

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外国語書面出願により第1国出願をする出願人の翻訳文作成負担の軽減を図るため、外国語書面出願の翻訳文提出期間を延長。

特許法第36条の2 特許法第17条の3

外国語書面出願を1年6月後に翻訳文付きで公開するために必要な事務手続期間の確保、及び国内優先権を主張するための手続期間を考慮し外国語書面出願の翻訳文提出期間を優先日から1年2月以内に設定。ただし、分割出願等の場合の翻訳文提出期間(特許法第36条の2第2項ただし書)は原則として、「出願日(もとの出願等の出願日に遡及)から1年2月」。また、もとの出願等の出願日から1年以上経過後に特許出願の分割若しくは出願の変更に係る外国語書面出願又は実用新案登録に基づく外国語書面出願を行う場合には、分割の日、変更の日又は実用新案登録に基づく特許出願の出願日から2月間、翻訳文提出期間を設けることとする。

【関連する改正事項】
特許法第44条第2項、特許法第46条の2第2項

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意匠権の存続期間について、「設定登録の日から15年」を「設定登録の日から20年」に延長。関連意匠の存続期間についても「設定登録の日から15年」を「設定登録の日から20年」に延長した。

意匠法第21条

ロングライフ商品や、リバイバル・ブームによって再度商品化されるものなど、魅力あるデザインの長期的な維持が重要となっている現状に加え、特許権と比較した際に、意匠権は保護期間の延長によって発明のような技術開発を通じた技術の向上を阻害するおそれが小さいため、存続期間が延長された。

【関連する改正事項】
意匠法第42条

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物品の本来的な機能を発揮できる状態にする際に必要となる操作に使用される画面デザイン(画像)について、物品の部分の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に含まれるものとして意匠法の保護対象となる。また、当該画面デザインがその物品の表示部に表示されている場合だけでなく、同時に使用される別の物品の表示部に表示される場合も保護対象となる。

意匠法第2条第2項

当該画像は物品の一部分として保護されている。つまり通常の全体意匠の一部を構成する要素、あるいは、部分意匠を構成する要素として画面デザインの保護が認められたため、画像そのものを意匠法で保護することはできない。一方、保護対象となる画像は「物品の操作(当該物品がその機能を発揮できる状態にするために行われるものに限る。)の用に供される画像」でなければならないことが規定されている。したがって、画面に表示される画像であっても、操作を必要としない画像(映画の一場面等)は保護対象とはならない。尚、組物の意匠は構成物品全体に係るデザインの統一感を保護するものであり、画像は個々の物品の一部にすぎないため、画像組物の意匠としての登録を認められない。

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意匠の類否判断は、意匠制度の根幹に係る意匠の登録要件や意匠権の効力範囲を司るものであることから、統一性をもって判断されることが望ましい。したがって、意匠の類否判断について明確化するために、意匠の類似について、最高裁判例等において説示されている取引者、需要者からみた意匠の美感の類否であることを規定した。

【関連する改正事項】
意匠法第24条

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関連意匠について同日出願の場合のみ登録が認められている意匠法第10条第1項を改正し、本意匠の公報発行の前日までの間に出願された関連意匠についての登録を認める。

意匠法第10条

出願人の便宜のため、本意匠の登録査定の謄本送達までの期間に加え、謄本送達から登録までの期間及び登録から公報発行までの期間の時間的余裕があり、関連意匠出願に関する相応の準備期間を確保することができる。

・秘密意匠の取扱い
当初の公報発行時点では公知とならない秘密意匠(意匠法第14条)を本意匠とする関連意匠の後日出願の時期についても、通常意匠と同時期である当初の公報発行日前までとした。当該秘密期間に出願された関連意匠出願は、意匠法第9条第1項の規定により拒絶する
・専用実施権の設定に関する取扱い
関連意匠に関する専用実施権の設定は、本意匠及びすべての関連意匠の意匠権について、同一の者に対して同時に設定しなければならない(意匠法第27条第1項ただし書)。関連意匠の後日出願を認めることに伴い、いったん本意匠やその関連意匠に対して専用実施権を設定した後に、追加的に意匠法第27条第1項ただし書の規定に違反した関連意匠の出願がなされる可能性が高まるため、既に専用実施権を設定した本意匠についての関連意匠は登録できない旨を意匠法第10条第2項に規定したものである。

・関連意匠相互の取扱い
意匠法第10条第4項は、ある本意匠に係る複数の関連意匠が登録される場合であって、それらの関連意匠相互が類似しているときは、当該関連意匠同士にも意匠法第9条第1項が適用されない旨を確認的に規定したものである。

【関連する改正事項】
意匠法第17条、意匠法第48条

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出願の日から14日以内とされている証明書の提出期間を、出願の日から30日以内とすることとする。

意匠法第4条

本条の規定の適用を受けるために必要な手続を定めた同条第3項において、出願人の利便性の向上の観点と審査着手時期までに適用の要件を判断するための材料が提出されているべきことを考慮し、証明書の提出期間を意匠登録出願の日から30日以内とした。

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秘密意匠の請求をすることができる時期的要件について、現行法において認められている、出願と同時にする場合に加え、意匠登録の第1年分の登録料の納付と同時にする場合も認める。

意匠法第14条第2項

意匠権の早期権利化の要請から審査の迅速化が実現したことに伴い、出願のタイミングによっては、商品の販売前にもかかわらず、意匠公報の発行によって意匠が公開されることがあり、商品の広告・販売戦略等に支障が出る場合が生じている。このような場合、秘密意匠制度を利用することができるが、秘密意匠の請求は意匠登録出願と同時にしなければならないとされているため、審査が出願時の予想よりも早期に終了した結果秘密意匠の請求の必要が生じたような事態には対処できなかった。こうしたことから、審査が終了した後にも秘密意匠の請求を可能とする必要がある。秘密意匠の請求に必要な手続を規定した意匠法第14条第2項において、従来の、出願と同時に請求する場合に加え、意匠登録の契機となる意匠法第42条第1項の規定による第1年分の登録料の納付と同時にする場合も認める旨を規定した。
秘密意匠の請求を第1年分の登録料の納付と同時にする場合のみとしたのは、登録査定の謄本の送達後、任意の時期に秘密意匠請求を可能とした場合、当該請求が登録料の納付手続とは別途なされることとなり確実な秘密意匠請求の管理が困難となる場合があること、さらに、秘密意匠請求がなされないものについても当該期間中に請求がなかったことを確認した上で登録を行う必要が生じ、これらに対応する事務負担によって迅速な登録及び公報発行に支障をきたす恐れがあること等を考慮したためである。なお、登録料の納付については、出願人だけでなく利害関係人もすることができるため(意匠法第45条において準用する特許法第110条)、出願人が登録料の納付と同時に秘密意匠の請求を行おうとしても、先に利害関係人によって登録料が納付され、秘密意匠の請求の機会が失われてしまう場合があり得る。今改正の趣旨は、秘密意匠について出願時に請求を行わなかった場合にも、後にその機会を予備的に設けたものであるので、可能であれば、従来どおり出願時に請求することが望ましいとされる。

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商標法上の保護対象として、「小売及び卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用される商標を追加する。

商標法第2条

小売及び卸売の業務において行われる総合的なサービス活動が、商標法上の役務に含まれるとする規定である。当該サービス活動の内容は、「顧客が来店して立ち去るまでの間に小売又は卸売に伴って提供される総合的なサービス活動であり、最終的に商品の販売により収益をあげるもの」(以下「小売等役務」という。)ということができる。これにより、個別の行為としては商標法上の「役務」に該当しないものとされていた小売業者等によるサービス活動を、総合的なサービス活動として商標法上の役務とみなすこととなり、小売業者等により使用される商標を商標法上の役務として保護することができるようになる。

① 卸売業
小売業と卸売業の差異は、単にサービス活動を行う顧客が流通業者等の事業者であるか、一般の消費者であるかという相違にすぎないものである。したがって、卸売の業務において行われるサービス活動がなされており、かつ、そこで使用される商標がそのサービス活動の出所を表示するものであれば、商標法上の役務に係る商標として保護されることとなる。
② 製造小売業
製造小売業は、自己の製造した商品を取り揃え、顧客にその購入のための便宜を図る業態であり、例えば菓子屋、パン屋などにおいて多く見られる。そこで提供される役務は、製造小売業以外の業態における小売等役務と異なるものではない。したがって、製造小売業者の使用する商標であっても、そこで小売の業務において行われるサービス活動がなされており、かつ、そこで使用される商標がそのサービス活動の出所を表示するものであれば、商標法上の役務に係る商標として保護されることとなる。

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団体商標の主体として、一般法である民法の規定により設立された社団に加え、法人格を有する社団(会社を除く。)を追加する。

商標法第7条

商標法第7条第1項は、団体商標の商標登録を受けることができる主体として、登録を受けることができる者は民法第34条の規定により設立された社団法人若しくは事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合(法人格を有しないものを除く。)又はこれらに相当する外国の法人に限って認めていたものであるが、今改正により、その他の社団(法人格を有しないもの及び会社を除く。)を追加したものである。「その他の社団」には、商工会議所法に基づく商工会議所、商工会法に基づく商工会、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)に基づく特定非営利活動法人(NPO法人)等の特別の法律により法人として設立された社団が含第三部商標法の改正項目に含まれることとなる。一方、法人格を有する社団であっても、株式会社や持分会社のような商法により設立された会社や日本たばこ産業株式会社のような日本たばこ産業株式会社法等の特別の法律によって設立された会社については、株主等を構成員とする社団であり、構成員に共通して使用させる商標が想定し難いことから、団体商標を登録できる主体には含めないこととした。

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意匠法第2条第3項、特許法第2条第3項、実用新案法第2条第3項、商標法第2条第3項における実施・使用の定義規定に、輸出する行為を追加する。また、意匠法第38条、特許法第101条、実用新案法第28条に規定されている「侵害とみなす行為」として権利侵害品を輸出するために所持する行為を追加する。

定義規定への輸出の追加

意匠法第2条、特許法第2条、実用新案法第2条、商標法第2条
輸出を「実施」及び「使用」行為として追加することとした。

侵害とみなす行為への「輸出を目的とする所持」の追加

意匠法第38条、特許法第101条、実用新案法第28条
改正法においては、侵害品の「譲渡等を目的とした所持」を侵害とみなす行為として追加することとしている(後述)。これに併せて、輸出により侵害品が拡散してしまうことを防止し、権利の効力の実効性を確保するため、輸出の前段階である「輸出を目的とした所持」を侵害とみなす行為として追加することとした。

【関連する改正事項】
意匠法第44条の3、特許法第112条の3、実用新案法第33条の3
意匠法第44条の3第2項、特許法第112条の3第2項、実用新案法第33条の3第2項は、登録料の追納により回復した権利の効力の制限について、登録料納付期限経過後の追納時期経過時(権利消滅時)から権利回復の登録まで(権利回復時)の期間になされた実施には、回復した権利の効力は及ばない旨が規定されている。改正法において、当該権利の及ばない実施行為として、譲渡目的所持が追加されることに伴い(後述)、輸出目的所持についても追加することとした。

意匠法第55条、特許法第175条、実用新案法第44条
意匠法第55条第2項、特許法第175条第2項、実用新案法第44条第2項は、再審によって回復した意匠権の効力の制限について、無効審決確定後(権利消滅後)から再審の請求の登録までの間になされた実施には、回復した権利の効力は及ばない旨が規定されている。改正法において、当該権利の及ばない実施行為として、譲渡目的所持が追加されることに伴い、輸出目的所持についても追加することとした。

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侵害物品の譲渡等を目的としてこれを所持する行為をみなし侵害規定(意匠法第38条、特許法第101条、実用新案法第28条)に追加する。

特許法第101条、実用新案法第28条、商標法第37条、意匠法第38条、商標法第67条
所持の目的とすべき行為については、権利の効力の実効性確保という趣旨に照らし、当該行為が実行されてしまった場合に侵害物品が拡散するなどして、その後の侵害防止措置が困難な状況に至る「譲渡」行為及び「貸渡し」行為を対象とした。また、今改正によって実施行為に含まれる「輸出」行為についても、「譲渡」や「貸渡し」と同様の理由から所持の目的行為とした。一方、「使用」行為については、使用と所持の行為態様が重複する場合が多いこと及び行為後に侵害品が広く市場に拡散してしまう危険性が低いことから、所持の目的としないこととした。
なお、産業財産権の効力は、業としての実施をする権利を専有するものであるから、みなし侵害とされる所持の目的行為である「譲渡」、「貸渡し」及び「輸出」行為も業として行われる場合が対象となる。

【関連する改正事項】
意匠法第44条の3、特許法第112条の3、実用新案法第33条の3、意匠法第55条、特許法第175条、実用新案法第44条

改正前の意匠法、特許法、実用新案法においては、登録料不納付によっていったん消滅した権利であってもその後の追納によって遡及的に回復する場合が定められているが、権利が消滅した後に実施をしていた第三者にまで、回復した権利の効力を遡及的に及ぼすことは妥当でない。そこで、登録料の追納により回復した権利の効力は、権利の消滅から回復登録までの所定期間内に行わ第二章産業財産権の侵害とみなす行為の見直し(「譲渡目的所持」のみなし侵害規定への追加等)

第三者による譲渡等の実施行為やみなし侵害行為には及ばない旨の効力制限規定が設けられており、再審による意匠権等の回復についても同趣旨の規定が設けられている。同各条の規定によって、効力制限期間内に行われた第三者の譲渡等の実施行為は非侵害行為とされるのであるから、非侵害行為とされる譲渡等を目的とした所持行為も同様に非侵害行為として法的整合性を図るべきであり、効力制限期間内における当該所持行為についても、回復した権利の遡及的効力が及ばない旨を同各条に規定した。また、今改正によって、実施行為に含まれる輸出行為についても、同様の理由から、効力制限期限内に行われた輸出を目的とした所持行為について、回復した権利の遡及的効力が及ばないこととした。

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意匠権、特許権及び商標権の直接侵害に対する懲役刑の上限を10年、罰金刑の上限を1,000万円に引き上げるとともに、実用新案権の侵害罪に係る懲役刑の上限を5年、罰金刑の上限を500万円に引き上げることとした。さらに産業財産権の間接侵害(みなし侵害)に対する懲役刑の上限を5年、罰金刑の上限を500万円に統一した。また、産業財産権四法について懲役刑と罰金刑の併科を導入し、法人重課について、四法統一的に3億円以下の罰金に引き上げることとした。

意匠法第69条、特許法第196条、実用新案法第56条、商標法第78条、意匠法第69条の2、特許法第196条の2、商標法第78条の2、意匠法第74条、特許法第201条、実用新案法第61条、商標法第82条

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① 懲役刑の上限の引上げ

近年、産業財産権の価値が向上していることなどから、侵害による被害額も高額化している。そこで、侵害行為に対する抑止効果や他の財産犯にかかる法定刑との均衡などを総合的に勘案し、直接侵害罪に係る懲役刑の上限を引き上げることとした(意匠権、特許権、商標権の侵害罪については10年、実用新案権の侵害罪については5年)。

② みなし侵害罪

意匠法、特許法及び実用新案法においては、侵害品の製造にのみ用いる物を生産等する行為が侵害とみなす行為とされている。また、今改正によって、それまで商標法において規定されていた譲渡等を目的とした所持行為が意匠法、特許法及び実用新案法においても侵害とみなす行為として追加されることとなった。こうしたみなし侵害行為は、直接侵害行為の予備的・幇助的行為と位置づけられ、そうした行為を侵害とみなすことによって産業財産権に対する侵害抑止の実効性を確保するために規定されたものである。また、侵害品の製造にのみ用いる物の生産等行為や譲渡等目的所持行為は、同行為自体によって直接的に権利者の損害を発生させる行為ではなく、あくまで直接侵害行為の予備的・幇助的行為にとどまる。これらを踏まえ、みなし侵害行為に係る懲役刑の上限については、産業財産権四法ともに5年とすることとした。

③ 罰金刑の上限の引上げ(1,000万円)

法人に対する処罰の引上げ
企業経営における産業財産権の重要性や、産業財産権の侵害による被害額の高額化に鑑みて、産業財産権四法の両罰規定における法人重課についても、3億円以下の罰金に引き上げることとした。

両罰規定における時効の期間の調整
産業財産権四法についての公訴時効については、刑事訴訟法第250条により、長期15年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については7年(第4号)、長期10年未満の懲役又は禁錮に当たる罪については5年(第5号)、長期5年未満の懲役若しくは禁錮又は罰金に当たる罪については3年(第6号)を経過することによって完成する。特許権、意匠権、商標権の侵害罪が懲役10年以下、実用新案権の侵害罪及び産業財産権四法のみなし侵害罪の懲役刑が5年以下となった場合、自然人については7年及び5年の時効期間が適用されることとなるが、一方で両罰規定における法人重課により罰金刑のみ課される法人については3年の時効期間が適用されることとなり、自然人と法人の時効期間が異なってしまうこととなる。こうした事態を避けるため、産業財産権四法における両罰規定を改正し、法人等に罰金刑を科す場合における時効の期間は、自然人の侵害罪についての時効の期間による旨を規定した。

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近年、公共料金の支払等における決済方法について、口座振替による納付やクレジットカードの利用が一般的に普及しているなど決済方法の多様化が進んでおり、産業財産権に係る手数料等の決済方法についても、利用者の利便性向上の観点に立った対応が求められている。さらに最近では、国庫金納付に係る大規模な電子決済インフラが整備されてきており、関係省庁や関係機関等の協力のもとオンラインシステムを利用したリアルタイムによる口座振替納付が可能となった。
このような状況を踏まえ、特許料等及び手数料の特許等関係料金について、出願人等手続者の利便性向上を図る観点から、口座振替による納付制度を導入することとなった。

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